カメラロールを眺めてみよう

今は多くの方がスマートフォンを持っています。

スマートフォンが身近になったことで私にも様々な変化が起こりましたが、写真をどんどん撮るようになったというのもその一つです。

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スマホを持っていると、歩いていて「あ」と思った時に写真が撮れ、フィルム代を気にせず何枚でも写せて、しかも勝手にクラウドにアップしてくれる。そんなわけで本当によく写真を撮るようになって、このブログに載せている写真もそういう中から選んでいるものです。


ところで、スマホの写真で面白いのは、撮った写真がずらっと並んで、指でスクロールするだけでどんどん見返せることです。みなさん自分の撮った写真を見返して気が付かれることはありますか?


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風景構成法と呼ばれる心理検査(心理テスト)があります。山や川、田んぼや家や人などを言われる順に描き込んでいって、最終的に一つの風景を作り出すというものです。手順や読み取り方の詳細はここでは語りませんが、この手法で描かれるのは、①山や川といった、いわゆる”大いなる自然”――人間の力が及ばないものと、②家のように人が自然をコントロールして作られるもの、または人間そのもの(”社会” ”世間” ”シャバ”というやつ)、③田んぼや道など自然と人間界とがつながるところに生まれるもの、の3つです。この3つの世界を行き来しながら、またそれらのバランスを取りながら人間の心は安定や成長を目指すのだということを巧みに使って、描いた人の今の心の状態を見るのです。

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みなさんのカメラロールにはどのような写真が多く撮られていますか?


一貫して植物を取り続ける人、家族や友人知人の写真が多い人。ある時期は山や鳥ばかり撮っていたけれど、急にビルの看板をたくさん撮るようになった人。


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私はといえば、このブログにもよく載せている通り、草木花の写真ばかり撮っています。あとは食べ物。どうも、根源的というか本能的な部分を動かすものに惹かれていますね。このオフィスが大阪市内にあって日頃はほとんど街中を歩いていますから、自然に触れられるのは限られた場所だけ。しかしスマホをかばんに入れていると、そうと意識しないうちに心の手が植物に向かって伸びていくようです。これが私の心の動き方の特性であると捉えてみると、例えば自分が疲れた時、苦しくなった時にどのようにすればよいのか、何によって苦しくなっているのか、理解する緒のひとつになりそうです。


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もう一度カメラロールを眺めてみましょう。一枚一枚の写真から、「これは○○に行った時で」「このとき☓☓がこんなことして」と思い出を振り返るのも楽しいものですが、何枚もの写真を流しながら見られるというカメラロールの特徴を生かして、自分の心の傾向を大きく掴んでみるのもよいものです。


何か心の動きが見えてきたでしょうか。

「これはなんだろう?」

上本町近辺の町をよく歩いています。


薄田泣菫の歌碑の写真を撮っていると、その陰から子どもが一人出てきました。首を傾げながら、写真を撮る私と歌碑とを交互に見ます。その子にとっては日常の遊び場、これが被写体として特別な対象になるということが不思議なのでしょう。

町には歴史があって、我々もそこに連なるものの一つです。

しかし、「これはなんだろう?」と立ち止まる時、そこには、歴史という普遍的な存在から切り離されて、一人の人間としてものを思う”私”の姿が浮かび上がります。


「これはなんだろう?」

 

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生きる町

心理臨床オフィスポーポの最寄り駅は、近鉄大阪上本町駅または大阪メトロ・谷町九丁目駅です。

駅の周りは商業施設や劇場(新歌舞伎座)があってとてもにぎやかですが、5分も歩くと静かな町が広がります。

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緑豊かな公園があって、

木には蜂。

神社があって、

お寺と個人商店がある。

歩けば歩くほど、細部にはまり込んでいく面白い町です。